|感動を生み出す役割|
建築家の仕事は、
「描く事」と「診る事」だと考えています。
一本一本の線に責任を乗せて描くこと。
その線が現実として正しく形になるよう、現場を診ること。
ただ「見る」のではなく「診る」。
そこに建築家の役割があると思っています。
SNSの普及により美しく魅力的な空間を、
簡単に目にする時代になりました。
ですが「いいな」と思ったものが
必ずしもその人に合っているとは限りません。
大切なのは、そこに選ぶ理由があるかどうかだと考えています。
理由があれば納得が生まれ、
納得が積み重なれば満足につながる。
反対に、理由のない選択は納得を生まず、
不安や不満を煽り、
やがて不信へと変わってしまいます。
打ち合わせの中で問い、理解、提案を積み重ね、
信頼関係を築きながら、クライアントの価値観を建築として形にする。
それは設計という仕事に携わる者として当たり前のことです。
建築家の仕事は、そこに想像を超える付加価値を与えることだと思います。
それがデザインであれ、性能であれ、考え方であれ形は何でも良い。
満足の上にある感動を与えられれば良い。
そしてその瞬間こそ私が仕事をする意義でもあるのかなと感じています。
|人が大切|
形になるのは「建物」。
形にするのは「人」。
だからこそ、どこで建てるかよりも
誰に頼むかが大切なのではないでしょうか?
会社を見て選ぶことも大切です。
しかし最後に行き着くのは、対面する「人」だと思っています。
建築は対話から生まれるものだからです。
だからこそ、個人で活動しています。
企業には組織としての強みがありますが、
クライアントが「誰に頼むか」を選びにくい側面もあります。
個人事務所は、選択肢が少ないとも言えますが、価値観が合えば、
その人に直接依頼できるという利点もあるはずです。
会社だから、建築家だからではなく、
「私だから」と言って頂ける仕事をしたい。
そのためにも日々の研鑽を怠らないよう心掛けています。
|設計・現場への拘り|
基本的に設計はクライアントの価値観が最優先です。
ただ私の建築に対する拘りにも耳を傾けて頂けたら嬉しいです。
素材はできる限り自然界にあるものを
使って頂きたいと考えています。
木、石、土など、使うほどに深みが増し、
自然の恵みや豊かさを感じられる素材です。
自然は、材料だけではありません。
風、光、雨、雪、音、火など。
これらは人には計り得ない力を持っています。
それらをどう活かすか。
自然の力を借りる設計を心がけています。
機械はいずれ壊れます。
自然は、いつもそこにあります。
だから自然に力を借り、
機械はその補助でよいと考えています。
また、良い建物をつくるためには、
完成までの手順が大切です。
仕上がりが美しい建築は見えない部分こそ、
深く考え抜かれていなければなりません。
そうでなければ、美しさを長く保つことができないからです。
そのためには職人の技術、工事業者の取り組みが欠かせません。
建築家としてできる最大のことは、
クライアントの意図を正確に伝えること。
見切り発車の工事にならないよう
下準備としての設計図を大切にする。
図面という線の集合体が、
何を考え、何を目指しているのか。
それを実現するために施工者が考え、検討する時間を与える。
それが、良い建築が生まれる条件だと考えています。