|日常から生まれる設計|
設計のようなクリエイティブな仕事には、
着想や発想、アイデアが欠かせません。
そう聞くと、
どこか特別な場所でしか生まれないものだと
思われがちかもしれません。
けれど私は、それらの多くは、
むしろ日常の中に静かに潜んでいると考えています。
何気ない生活の一場面、ふとした違和感、心が動いた瞬間。
そうした小さな気づきが、
設計の出発点になることは少なくありません。
だからこそ、日常を丁寧に過ごすことを大切にしています。
朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴び、コップ一杯の水を飲む。
身支度をし、朝食を摂り、コーヒーを飲みながら仕事の準備をする。
仕事の合間を見ながら掃除や洗濯をする。
心に余裕がないときは、良いアイデアが生まれにくいものです。
仕事だけをして一日を終えるのではなく、
生活そのものに目を向け続けること。
それが建築家としての基本姿勢だと考えています。
|普通という尺度|
「普通はこうだよね」
「それが普通じゃない?」
日常の中で何気なく使われるこの言葉は、
人其々が持つ尺度、又は多くの人に共通する平均値を指しています。
仕事を「普通」で済ませないために、
まず自分と世間の「普通」を知ることが必要だと考えています。
それが自分や世間にとっての普通であって、
誰かにとっての普通ではないかもしれないからです。
「普通はこの方が美しい」
「普通はこの方が使いやすい」
「普通はこれで十分な広さ」
そう思ったとしても、誰かにとってはそうでないことがある。
そのとき「普通」という思考は、
設計者とクライアントの間に、
見えない壁をつくってしまいます。
一般論は必要です。
けれど、それに縛られない柔軟な思考が、
一人ひとりに合った建築を生み出すと考えています。
|設計力<問いの力|
建築設計において、何より大切にしていることがあります。
それは、「聞くこと」「知ること」「学び続けること」です。
「聞くこと」は、
提供する側とされる側が存在する以上、欠かせない行為です。
相手が何を求め、何を望んでいるのか。
その言葉に耳を傾け、受け止めること。
ただし、聞くだけで終わってしまえば、
要望を形にするだけの設計になります。
それならば、建築家である必要はないとも考えています。
「知ること」は、
聞いて得た言葉の奥にある想いを汲み取り、言語化すること。
それは同時にお客様自身が自分の価値観や
本音に気づくきっかけにもなります。
人は意外と自分自身をよく知らなかったり、
理解していなかったりするものです。
考えを整理し、取捨選択しながら前に進む。
そのプロセスに寄り添うことも、建築家の役割だと考えています。
最後に「学び続けること」。
建築に限らず、世界は常に変化し、進化し続けています。
新しい建材、新しい技術、新しい価値観。
得られた想いを形にするためには、
経験や知識、そして情熱が欠かせません。
日々学び、それを設計に還元し続けること。
その積み重ねが、建築に確かな違いを生むと信じています。